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奥が深い!実はこんな意味がある振袖の役割や意味。

成人式や結婚式などで未婚女性の正装として扱われる振袖は、単に「袖が長い着物」というわけではありません。

実は、振袖には様々な役割が意味があり、未婚女性の衣装とされているのにもきちんとした由来があります。

振袖の役割や意味

長い袖=子どもの服だった

現在の振袖は袖八ツ口(袖の体側の方)が開いた子ども用の小袖が元であるといわれています。

動乱期であった鎌倉時代など中世の日本では、大人は袖ば短く動きやすい着物を着ていましたが、袖が短い着物は熱がこもりやすいため体温が高い子どもには不向きだとされていました。

そこで、子どもは体温を逃がすため、袖八ツ口が大きく開いた小袖を着るようになりました。

この振袖の原型となった小袖は男女共通の着物で、江戸時代の作家である井原西鶴が書き記した「西鶴俗つれづれ」によると、既婚・未婚に関係なく男子は17歳の春、女子は19歳の秋に、袖を短くするとともに脇をふさいだとあります。

振袖の登場と「未婚女性の衣装」になったのは江戸時代

動乱期だった戦国時代を終え、天下泰平の世となった江戸時代に入ると人々の衣服も動きやすさを重視したものから美しさも考慮されたものへと変化していきます。

なかでも、おしゃれに敏感な若い女性の着物は変化が大きく、江戸時代前期から袖の丈が徐々に長くなっていきました。

袖が長くなった理由には諸説ありますが、平和になったことで娘に舞踊を教える人が増え、袖が長い方が舞いが美しく見えるからという説があります。

振袖は、江戸時代前期、少なくとも井原西鶴が「西鶴俗つれづれ」を記した元禄時代ごろまでは男女兼用の衣装でしたが、時代が経つにつれて女性のみの衣装として発展していきました。

当時大きく発展した江戸は男性が圧倒的に多く男女比は2:1だったといわれており、いわゆる「嫁不足」が深刻な状態でした。

そこで、若い女性が未婚か既婚かを判別するため、振袖が未婚女性の衣装として定着していったようです。

なお、留袖が既婚女性の正装とされたのもこの頃からで、「夫一人の想いを留める」という意味があるといわれています。

振袖の「振り」は「霊振り」から

神社で祈祷を受けると、神職が「大幣(おおぬさ)」を振って祝詞を挙げます。神楽舞で鈴を振るのを見たことがある人もいるでしょう。

日本では古来より「振る」という動きは邪気を打ち払う力があるだけではなく、死んだ人の魂を鎮め、生きている人の体から魂が抜けるのを防ぎ、体に活力を与える「霊振り(たまふり)」の力があると考えられており、振袖の「振り」も霊振りから来ているといわれています。

また、嫁不足が深刻だった江戸時代、社会は男性上位でしたが恋愛や結婚においては女性に「選ぶ権利」がありました。

しかし、当時は女性が男性に自分の気持ちを伝えるのは「はしたないこと」とされていたため、意中の男性から求婚されても言葉で返答することができませんでした。

その代わりに魂を繋ぎとめる力がある「袖を振る」という動作で答えるようになり、求婚に応えることができる未婚女性の衣装=振袖となったといわれています。

袖振り合うも多生の縁

日本には「袖振り合うも多生の縁」ということわざがありますが、「多生の縁」とは前世から結ばれている縁という意味があります。

また、袖振り合うとは「袖が触れ合う」ことで、「袖振り合うも多生の縁」は「袖が触れ合う程度のささいな出来事も、偶然ではなく前世からの深い縁が起こしていることだから大切にしなさい」という意味を持っています。

袖が長い振袖は袖が短い着物よりも「袖振り合う」可能性が増えるため、縁を引き寄せる効果がある、縁を起こす力があるなど縁結びという意味も持っています。

まとめ

振袖には未婚女性であるということを示す役割のほかに、「振る」という動作が持つ「邪を払う力」や「活力を与える力」を持っているほか、「縁を引きつける」「縁を繋ぐ」といった意味があります。

まさに、卒業式や成人式、結婚式といった門出や縁が繋がるハレの席にふさわしい衣装といえるでしょう。

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